古典芸能の楽しみ方

「難しい」「敷居が高い」と言われる古典芸能も鑑賞するポイントが分かれば面白みも出てきます。そんな見どころなどをご紹介します。

三遊亭圓楽さんの訃報に思う

三遊亭圓楽さんが、長い闘病の末にお亡くなりになりました。 その業績について今さら私ごときが語ることでもありませんが、一つ気になったのが圓楽さんも気にされていたという「落語協会の統一」という問題です。 落語家は「個人事業主」ですから本来は一匹…

桐竹勘十郎丈インタビュー (婦人公論 9月号)

今月号の「婦人公論」に、人間国宝で、人形浄瑠璃文楽の人形遣いである桐竹勘十郎丈のインタビューが掲載されています。https://fujinkoron.jp/articles/-/6467インタビュアーは、古典芸能関連の著作も多い関容子さん。勘十郎丈の幼少期から、今日までの様々…

三遊亭金翁さんの訃報に「?」

落語家の三遊亭金翁さんが亡くなったというニュースが報じられました。https://mainichi.jp/articles/20220827/k00/00m/040/191000c実は最初「金翁って、誰のこと?」と思いました。 というのも、江戸落語の事情にそれほど詳しくなかったので、それが先代の…

桐竹勘十郎丈が、大学の教壇に

人形浄瑠璃 文楽の人形遣いで人間国宝の桐竹勘十郎丈が、この度、大阪公立大学の客員教授に就任されたそうです。https://www.sanspo.com/article/20220826-S3ZALRFERJLJLGQEP3HE3T4AOI/歌舞伎と比べると、今一つメディアでの取り扱いが少ない文楽ですが、こ…

中村福之助丈、歌之助丈の復帰に思うこと

歌舞伎座「八月大歌舞伎」を新型コロナウイルス感染症で休演していた中村福之助丈と歌之助丈の兄弟が、無事に舞台に復帰したそうです。 hochi.newsひょっとしたら、このまま休演で千秋楽を迎えるかとも思いましたが、どうにか間に合ったようですね。若い2人…

京都南座「坂東玉三郎 特別公演」の内 「東海道四谷怪談」

今月は京都南座で、怪談物の名作「四谷怪談」が上演されています。 www.kabuki-bito.jp 坂東玉三郎丈が昨年9月の歌舞伎座に続いてお岩を演じるのが一番の見どころですが、実のところ、玉三郎丈がお岩を演じるのはこれが3回目と、意外と少ないんですね。 は…

大阪松竹座「七月大歌舞伎」 そして仁左衛門丈のこと

昨日、3年ぶりに大阪松竹座の夏の風物詩「船乗り込み」が開催されました。 youtu.be 今回は、ご覧のYouTubeでも配信されるなど、いろいろと新しい試みが行われた「船乗り込み」でしたが、一つ残念だったのが、先の記事でも「復帰」のニュースを取り上げたば…

仁左衛門丈が帰ってくる!

帯状疱疹で歌舞伎座「六月大歌舞伎」を休演されていた片岡仁左衛門丈が、無事に大阪松竹座「七月大歌舞伎」から復帰されるそうです。 www.kyoto-np.co.jp ここ数年で、坂田藤十郎丈、片岡秀太郎丈と立て続けに大御所が他界。さらには先日の坂東竹三郎丈の訃…

祝!中村梅玉丈 「六月大歌舞伎」に復帰

6月17日から体調不良で「六月大歌舞伎」を休演されていた中村梅玉丈が、昨日21日から復帰されたそうです。 www.chunichi.co.jp これまた急な知らせでしたので、どうなることやらと思いましたが、大事には至らず舞台に復帰ということで、まずはめでたいことで…

訃報 坂東竹三郎丈 逝去

上方歌舞伎の「生き字引」とも言える大ベテランの坂東竹三郎丈が、亡くなられたとのニュースが流れました。 newsdig.tbs.co.jp こういう病気を患っていらっしゃったとは存じませんでしたし、来月の「関西・歌舞伎を愛する会 七月大歌舞伎」にもお名前を連ね…

歌舞伎の「曽我物」の特徴

6月12日放送の「鎌倉殿の13人」では、日本史上にその名を残す「曾我兄弟の仇討ち」が描かれました。 その真相が、如何なるものだったのかは、歴史の彼方を正確に見通す術がない以上、いろんな解釈が出来ますが、個人的には、三谷幸喜氏の構成は見事だったと…

高麗屋から目が離せない!

昨日、大阪市内で、大阪松竹座「七月大歌舞伎」の取材会が開催され、松本幸四郎丈が熱くPRしていかれたようです。 www.sanspo.com 歌舞伎の話題もさることながら、先日まで出演していたTVドラマの件で大盛り上がりだったようですが・・・ 思えば、ご子息の…

待ってました!成田屋!

遂に、「市川團十郎」の名跡が甦ります! www3.nhk.or.jp 2020年(令和2年)に行われる予定だった、十三代目 市川團十郎の襲名披露公演が、遂に今年11月から始まることが発表されました。 実に2年越しでの襲名実現で、歌舞伎界にとっては令和最大の公演にな…

「六月博多座大歌舞伎」間もなく開演

この6月3日(金)から福岡県にある博多座で「六月博多座大歌舞伎」が開演します。 www.kabuki-bito.jp 関西と違って、地方都市では歌舞伎の定期公演がなかなか催されない中、この博多座での公演は、名古屋の御園座での公演と並ぶ、地方での貴重な定期公演と…

3年ぶりの京都薪能

来月、6月1日(水)・2日(木)の2日間、平安神宮で「第71回 京都薪能」が開催されます。 rohmtheatrekyoto.jp 1950年(昭和25年)に始まって以来、毎年この時期に開催されていた「京都薪能」。 このコロナ禍の影響で2年連続中止となっていましたが、今年は…

「六月大歌舞伎」の演目変更に思うこと

片岡仁左衛門丈の休演が発表された歌舞伎座の「六月大歌舞伎」ですが、代わりに玉三郎丈主演の「ふるあめりかに袖は濡らさじ」の上演が決まったそうです。 元々、劇団新派で演じてこられたお芝居ですが、玉三郎丈もこの作品を気に入っているらしく、自ら新派…

やっぱり成田屋!

昨日、東京スカイツリーの開業10周年を記念して、市川海老蔵丈がスカイツリーの頂上で、市川宗家のお家芸「にらみ」を披露したそうです。www3.nhk.or.jp 「にらみ」とは左右の眼球を全く違う方向に向けて客席を見渡す仕草で、市川宗家こと「成田屋」だけが披…

役者と老いについて考える

先日、片岡仁左衛門丈が休演のニュースを紹介しましたが、ここであらためて考えさせられたのが、役者と老いの問題です。 舞台に立つと颯爽と見える仁左衛門丈も78歳。そして若い頃に「孝玉コンビ」で鳴らした坂東玉三郎丈も72歳。 いかな名優といえど、やは…

そういえば、鴨川をどり・・・

先日、何気なく通勤の途中で駅の広告ポスターを見ていたら、「鴨川をどり」のポスターを見かけて「ああ、もう始まっていたのか」と今さらながら気づいた次第。 www.kamogawa-odori.com この「鴨川をどり」は、京都五花街の一つ、先斗町の芸舞妓による舞踊公…

役者と俳句

本日5月16日は、かの「俳聖」松尾芭蕉が「奥の細道」の舞台となった東北・北陸への旅に出発した日だそうです。 近頃は「プレバト」などの番組の影響もあって、俳句人気がまた盛り上がってきていますが、その昔、歌舞伎界でも俳句は役者の嗜みの一つだったそ…

またまた片岡仁左衛門丈の休演に思うこと

上方歌舞伎の重鎮である十五代目 片岡仁左衛門丈が、この「六月大歌舞伎」を休演することになりましたが、先日、息子の片岡孝太郎丈が「帯状疱疹のため」と発表しました。www.nikkansports.com 頭に帯状疱疹では、確かに鬘が付けられないので致し方ないです…

實川延若という役者

本日5月14日は、今から31年前に信楽高原鐵道列車衝突ん事故が起きた日です。 42名の方が亡くなる大惨事となった事故でしたが、実は同じ日に上方歌舞伎の重鎮が、ひっそりと亡くなっていました。 それが三代目實川延若丈です。1921年(大正10年)に、二代目實…

團菊祭五月大歌舞伎 開演

さて本日から歌舞伎座では「團菊祭五月大歌舞伎」が初日を迎えました。「團菊祭」とは、明治時代に活躍した九代目 市川團十郎丈と五代目 尾上菊五郎丈の功績を顕彰して、昭和11年から毎年5月の歌舞伎座の風物詩として定着した公演です。きっかけは、この年…

京都南座「三月花形歌舞伎」を終えて

今年も京都南座で、恒例となった感もある「三月花形歌舞伎」が開催され、先日13日に無事千穐楽を向かえました。 ここ数年、三月の南座は、東西の若手俳優主体の公演が続いており、歌舞伎座の本公演ではなかなか大役が回ってこない若手俳優にとっては、正月の…

片岡仁左衛門丈の休演に思うこと

先日、歌舞伎座「三月大歌舞伎」出演中の片岡仁左衛門丈が体調不良で休演というニュースが報じられました。www.jiji.com まあ、この方、若い頃からあまり丈夫な質ではありませんでしたが、それでも77歳の今日まで歌舞伎界(特に関西の歌舞伎)を引っ張って来ら…

古典芸能は、源平合戦がお好き?

ただいまNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が好評放送中ですが、実は歌舞伎の世界では物語の舞台となる源平合戦から鎌倉幕府設立までの時期を舞台にした作品が結構多いのです。有名なものだけでも「義経千本桜」や曽我兄弟の仇討ちをテーマにした「寿曽我対面…

古典芸能が普及しない理由

「古典芸能」と聞いて、ほとんどの人が抱くイメージは、「難しい」「敷居が高い」というものでしょう。好きな人は「そんなことはないよ」というでしょうが、客観的に見ればやはり敷居が高いのは事実だと思います。その理由は色々ありますが、私は古典芸能の…

古典芸能はネタバレOK!

大学生のころに歌舞伎にはまったのをきっかけに、それまであまり興味がなかった古典芸能について色々調べてみたり鑑賞するようになって、早20年以上。 自分ではそれなりに色々な楽しむポイントを心得ているので飽きがこないわけですが、かつての私同様あま…