古典芸能の楽しみ方

「難しい」「敷居が高い」と言われる古典芸能も鑑賞するポイントが分かれば面白みも出てきます。そんな見どころなどをご紹介します。

團菊祭五月大歌舞伎 開演

さて本日から歌舞伎座では「團菊祭五月大歌舞伎」が初日を迎えました。

「團菊祭」とは、明治時代に活躍した九代目 市川團十郎丈と五代目 尾上菊五郎丈の功績を顕彰して、昭和11年から毎年5月の歌舞伎座の風物詩として定着した公演です。

きっかけは、この年の5月に彫刻家の朝倉文夫氏に依頼していた二人の胸像が完成して、歌舞伎座のロビーで御披露目されたことだそうです。

実はこの間、常に團十郎菊五郎が共に居たわけではありません。
特に菊五郎の名前は、昭和24年に六代目が亡くなって以降、昭和48年に当代の七代目が襲名するまで20年以上も「菊五郎」が不在でした。

また團菊祭そのものも毎年開催されていたわけではありません。
戦争による中断を挟んで復活したのが昭和33年。
その後も毎年開催されたわけではなく、本格的に5月の歌舞伎座の風物詩として定着したのは、昭和60年の十二代目 市川團十郎の襲名以降と、そんなに古い話ではないのです。

また、歌舞伎座が改修工事を受けることになった平成22年から24年の3年間は、大阪松竹座で開催されています。

今回、コロナ禍による中断を経て、3年ぶりの開催となる團菊祭。

本来であれば令和2年に、現在の市川海老蔵丈が十三代目 市川團十郎を襲名して、久々に團十郎菊五郎が並び立ったかもしれなかっただけに、つくづくコロナ禍が恨めしいものです。

役者の皆さんには、このコロナ禍に負けない熱演を期待したいものです。