古典芸能の楽しみ方

「難しい」「敷居が高い」と言われる古典芸能も鑑賞するポイントが分かれば面白みも出てきます。そんな見どころなどをご紹介します。

またまた片岡仁左衛門丈の休演に思うこと

上方歌舞伎の重鎮である十五代目 片岡仁左衛門丈が、この「六月大歌舞伎」を休演することになりましたが、先日、息子の片岡孝太郎丈が「帯状疱疹のため」と発表しました。

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頭に帯状疱疹では、確かに鬘が付けられないので致し方ないですが、ここ最近、松竹は仁左衛門丈と玉三郎丈の伝説の「孝玉コンビ」に、コロナ禍後の歌舞伎公演の巻き返しを期待していただけに、興業面では手痛い打撃と考えていることでしょう。

とは言え、仁左衛門丈も今年で78歳。
よく古典芸能の世界では、かの渋沢栄一翁の名言
「四十、五十は洟垂れ小僧 六十、七十は働き盛り 九十になって迎えが来たら 百まで待てと追い返せ」
が使われますが、やはり年齢とともに衰えは隠せなくなります。

それに仁左衛門丈は、まだ「片岡孝夫」という本名で舞台に立っていた50歳前に、肺と食道の大病を患って、一年も休業を余儀なくされています。
この時のことは、後に本人もインタビューなどで「さすがに、これで人生終わりかと思った」と言うほどの症状だったそうです。

元々、体格もそんなにガタイのいい方ではなく、同年代で昨年亡くなられた中村吉右衛門丈と比べても、背の高さは同じくらいですが、肉付きは吉右衛門丈の方が遥かに貫禄があります。

昨年には兄の秀太郎丈が亡くなり、仁左衛門丈の重責がますます増してきた昨今、体調には十分に気を付けて頂かないといけませんし、何より後進となる孝太郎丈や愛之助丈にもさらに活躍してもらわなければなりません。