古典芸能の楽しみ方

「難しい」「敷居が高い」と言われる古典芸能も鑑賞するポイントが分かれば面白みも出てきます。そんな見どころなどをご紹介します。

古典芸能は、源平合戦がお好き?

ただいまNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が好評放送中ですが、実は歌舞伎の世界では物語の舞台となる源平合戦から鎌倉幕府設立までの時期を舞台にした作品が結構多いのです。

有名なものだけでも「義経千本桜」や曽我兄弟の仇討ちをテーマにした「寿曽我対面」などの所謂「曽我物」は、まさに「鎌倉殿の13人」の時期と被るわけです。

ただよく見ると、ほとんどの作品が義経か曽我兄弟を物語の中心に置いており、例えばドラマで中心となっている源頼朝北条義時を主役に据えた作品は見受けられません。

この辺りの理由としては、やはり「狡兎死して走狗烹らる」の諺通りに非業の最期を遂げた義経や「仇討ち」という一つの英雄的行為を成し遂げた曽我兄弟に、大衆は同情や共感を寄せたのではないでしょうか。

逆に頼朝や義時のような「人生の成功者」は、すでにいい思いをしてるのに、まだチヤホヤされたいか、という感情が先に来て、芝居の主役としては、あまり人気が無いのかもしれません。

現在でこそ、彼ら成功者も客観的に評価されるようになりましたが、だからこそ古典芸能の世界でも、頼朝や義時を主役にした新作が登場しても良いように思います。

その点では、予算や何やらで制約も多いとは言え、大河ドラマというのはある種の「新しい古典」を生み出しているのかもしれませんね。