古典芸能の楽しみ方

「難しい」「敷居が高い」と言われる古典芸能も鑑賞するポイントが分かれば面白みも出てきます。そんな見どころなどをご紹介します。

京都南座「坂東玉三郎 特別公演」の内 「東海道四谷怪談」

今月は京都南座で、怪談物の名作「四谷怪談」が上演されています。

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坂東玉三郎丈が昨年9月の歌舞伎座に続いてお岩を演じるのが一番の見どころですが、実のところ、玉三郎丈がお岩を演じるのはこれが3回目と、意外と少ないんですね。

はじめてお岩を演じたのが昭和58年6月の歌舞伎座で、それ以来、昨年9月の歌舞伎座まで全く演じてこなかった役なんです。

 

今回は、これまで何度となく伊右衛門役でコンビを組んだ片岡仁左衛門丈に代わり、甥である片岡愛之助丈が伊右衛門を務めることになりましたが、プログラムのインタビューを読むと、3年前に南座で上演された「四谷怪談」での愛之助丈の伊右衛門を見た玉三郎丈が「是非に」と指名しての共演になったそうです。

 

上演されるのは通し狂言の内の二幕目の部分のみで、よくクライマックスとして演じられる三幕目の「隠亡堀(おんぼうぼり)」は今回は上演されないそうです。

まあ「隠亡堀」は戸板に打ち付けられたお岩と小仏小平の怨霊が流れてきて伊右衛門に祟るという話ですが、実際に舞台上にプールを作って役者はその中から出てきたりという演出なので、御年72歳の玉三郎丈には、ちょっと酷という配慮もあったのでしょう。

 

とは言え、昨今では「四谷怪談」は歌舞伎座でもなかなかかかることが少なくなった演目なので、ぜひ見ておいて損は無いと思いますね。